認知症のご本人が受診拒否・病院に行きたがらない場合の対応
ひょっとして認知症かも?とご本人やご家族・周りの人々が気づいても、そのことを認めたがらなかったり、認知症が進行して病気であることを理解できず、受診を拒否するケースがあります。
そんなときは、どのように対処したらいいのでしょうか?
ご本人の気持ちを尊重しながら、状況を伝える
認知症かもしれない、という違和感や異変に気付くと、不安になることがあります。不安によって、そのことをうまく受け入れられないこともあるでしょう。
そのような場合は、認知症や病気の可能性があることをそのまま伝えるのではなく、まずは今の状態・症状を理解してもらうことから始めましょう。
「認知症かもしれないから」、と直接伝えてしまうと、自尊心が傷ついたり、余計に不安になってしまうことがあります。
たとえば「〇〇のことを忘れていたよね」「〇〇をどこに置いたか思い出せないよね」など、生活の中で具体的な例を挙げて伝えると、自分の症状を認めやすくなることがあります。
かかりつけ医や第三者にも相談してみる
中には、ご家族からの提案をなかなか受け入れられないケースもあります。
その場合、もしかかりつけ医がいたら、事前に相談して受診を促してもらうのもいいでしょう。
かかりつけ医がいない場合でも、親しい友人や親戚など、信頼している第三者から勧めてもらうという方法もあります。
■受診を促す際の心がけ
本人を責めたり、無理強いしたりしない
本人の言い分をよく聞き、理解しようとする
本人のペースに合わせて、ゆっくりと話し合う
認知症が進行すると、不安や妄想などの心理症状によって、一層拒否するようになることもあります。
できるだけ早く受診してもらいたいという気持ちが募ると、つい焦りが出てしまうことがありますが、ご本人の症状や性格などを考慮して、無理のない範囲で、理解と協力を得られる方法を探しましょう。
どうしても病院へ行きたがらない場合には
周りがどれだけ説得してもご本人が病院に行きたがらない場合は、「認知症初期集中支援チーム」による在宅診断を受けるという方法があります。
認知症初期集中支援チームは、全国の市区町村が設置している認知症の専門家チームで、認知症サポート医と保健師・看護師・作業療法士・精神保健福祉・社会福祉士・介護福祉士など、医療・介護の専門職メンバーで構成されています。
相談に応じて、家庭を訪問し、身体や認知機能などの状況を確認したり、聞き取りなどを行い、認知症に対する初期対応をサポートしてくれます。
詳しくは、お住まいの地域の役所の福祉関係相談窓口や、地域包括支援センターに相談してみてください。
まとめ
認知症はなるべく早く受診し、症状に応じた治療を開始することが大切です。
しかし、ご本人の気持ちや状態によって、受診やケアのために必要なコミュニケーションが取りづらくなってしまうことがあります。
ご本人の気持ちを尊重しつつ、必要に応じて行政や第三者のサポートも取り入れながら、できるだけスムーズに受診へと進めるようにしましょう。
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