パーキンソン病と食事
栄養で症状を和らげ、生活の質を高める
パーキンソン病は、進行性の神経変性疾患であり、運動機能や日常生活に様々な影響を及ぼします。薬物療法やリハビリテーションが治療の中心となりますが、食事と栄養も症状の緩和や生活の質の向上に重要な役割を果たします。この記事では、パーキンソン病患者さんの食事と栄養について、最新の知見を交えながら詳しく解説します。
パーキンソン病と栄養の関係
パーキンソン病は、脳内の神経伝達物質であるドーパミンが減少することで発症します。ドーパミンは、運動機能や気分、意欲などを調節する重要な役割を担っています。食事は、ドーパミンの生成や働きに影響を与えるため、パーキンソン病の症状や進行に深く関わっています。具体的には、以下の栄養素がパーキンソン病に良い影響を与える可能性が示唆されています。
- 抗酸化物質: 酸化ストレスから神経細胞を保護し、炎症を抑える効果が期待されます。
- 食物繊維: 便秘の予防や改善に役立ちます。
- ビタミンD: 骨粗鬆症の予防や、パーキンソン病の進行を遅らせる可能性が示唆されています。
- オメガ3脂肪酸: 脳の炎症を抑え、神経細胞を保護する効果が期待されます。
パーキンソン病患者さんの食事で気を付けるべきこと
パーキンソン病患者さんは、以下の点に注意して食事を摂ることが大切です。
- バランスの取れた食事: 主食、主菜、副菜を揃え、様々な食品から栄養を摂取しましょう。
- 水分補給: 便秘予防のため、1日5リットル以上の水分を摂取しましょう。
- 低タンパク質食: タンパク質は、パーキンソン病の薬であるレボドパの吸収を妨げる可能性があるため、薬の服用時間帯はタンパク質の摂取を控えめにしましょう。
- 食物繊維を豊富に: 便秘はパーキンソン病の症状の一つです。食物繊維を豊富に摂取し、腸内環境を整えましょう。
- ビタミンDを意識して摂取: ビタミンDは、日光を浴びることで体内で生成されますが、不足している場合はサプリメントなどで補いましょう。
- 加工食品や飽和脂肪酸を控える: 加工食品や飽和脂肪酸は、炎症を悪化させる可能性があるため、控えめにしましょう。
パーキンソン病患者さんに推奨される食事
パーキンソン病患者さんに推奨される食事として、以下の3つが挙げられます。
- 地中海食: 野菜、果物、全粒穀物、魚介類、オリーブオイルなどを中心とした食事です。抗酸化物質や食物繊維が豊富で、炎症を抑え、心血管疾患のリスクを低減する効果も期待できます。
- DASH食: 高血圧の予防・改善を目的とした食事ですが、パーキンソン病患者さんにも適しています。野菜、果物、低脂肪乳製品、全粒穀物、魚介類、豆類などを中心に摂取し、塩分、飽和脂肪酸、砂糖を控えめにします。
- MIND食: 地中海食とDASH食を組み合わせた食事で、認知機能の低下を防ぐ効果が期待されています。緑黄色野菜、ベリー類、ナッツ類、魚介類、オリーブオイルなどを積極的に摂取します。
食事に関するその他の注意点
パーキンソン病患者さんは、食事以外にも以下の点に注意しましょう。
- 薬の飲み合わせ: 一部の食品やサプリメントは、パーキンソン病の薬と相互作用を起こす可能性があります。医師や薬剤師に相談しましょう。
- 嚥下障害: 病気の進行に伴い、食べ物を飲み込みにくくなることがあります。嚥下障害が疑われる場合は、医師に相談し、適切な食事形態や嚥下リハビリテーションを受けましょう。
- 食欲不振: 薬の副作用や気分の落ち込みなどにより、食欲不振に陥ることがあります。無理に食べる必要はありませんが、低栄養にならないよう、少量ずつでも栄養価の高いものを摂取するように心がけましょう。
まとめ
パーキンソン病患者さんにとって、食事と栄養は、症状の緩和や生活の質の向上に欠かせない要素です。バランスの取れた食事を心がけ、必要な栄養素を十分に摂取することで、病気と向き合いながら、より充実した日々を送ることができます。この記事で紹介した情報は一般的なものであり、個々の患者さんの状態や症状によって、適切な食事や栄養は異なります。疑問点や不安な点がある場合は、必ず医師や管理栄養士に相談し、個別にアドバイスを受けるようにしましょう。
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