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認知症予防に効果的!亜麻仁油の効果や摂取方法を解説

2024.02.06

認知症予防に効果的!亜麻仁油の効果や摂取方法を解説

 

 

認知症予防には、健康的な食生活が大切です。

近年では亜麻仁油が認知症予防と相性が良いことがわかり、一躍話題になりました。
「亜麻仁油について知りたい」「亜麻仁油ってどうして健康に良いの?」と興味を持っている人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、認知症予防につながる亜麻仁油の効果や摂取方法を紹介します。

 

認知症と生活習慣病の関係

アルツハイマー型や脳血管性の認知症は、血栓による心疾患や脳血管疾患などの循環器系疾患が深く関わっています。

一見無関係のようですが、実は糖尿病や高血圧といった生活習慣病を患っている人、または予備軍の人は、病気による脳のダメージを受けやすく認知症を発症するリスクが高いといわれています。

生活習慣病を予防するには、日頃から運動や睡眠、社会活動、そして食生活を整えることが大切です。
特に食生活を改善するのはなかなか難しいですが、すべてを変えようとするのではなく、まずできることからはじめてみましょう。

 

亜麻仁油とは?

亜麻仁油とは、成熟した「亜麻」という植物の種子から取り出した油です。

栽培には寒暖差が大きく寒い地域が適しており、海外ではロシアやカナダでの生産が多いそうです。
国内では北海道の一部地域でのみ作られています。

一昔前はリネンの原料や木材などの仕上げ塗料といった用途が主流でしたが、近年は食用油としても注目されています。
天然油である亜麻仁油は健康食品として需要が高まり、今では多くのスーパーで手に入るようになりました。

 

亜麻仁油が認知症予防に効果的な理由

では、なぜ亜麻仁油が認知症予防に効果的なのでしょうか。
その秘密は、亜麻仁油に含まれる脂肪酸にあります。

脂質はわたしたちの身体に必要な栄養素のひとつです。それを構成している脂肪酸には飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸の2種類があります。

亜麻仁油などの植物油は不飽和脂肪酸に分類されます。
その中でも健康効果が高いのが、多価不飽和脂肪酸である「オメガ3系脂肪酸」です。

オメガ3系脂肪酸である「α−リノレン酸」「DHA(ドコサヘキサエン酸)」「EPA(エイコサペンタエン酸)」は子どもの脳の成長発達に重要な栄養素であり、さらに認知症予防にも効果が高いことがわかっています。

例えば、神経細胞の活性化、アミロイドβ(アルツハイマーの原因といわれるタンパク質)の抑制、精神疾患やうつ予防など認知症予防への効能がたくさんあります。

さらに高血圧予防、血中中性脂肪や悪玉コレステロールの抑制、腸内環境改善など、生活習慣病予防にもアプローチしてくれる栄養素なのです。

亜麻仁油のα−リノレン酸含有量はおよそ60%と非常に優れており、摂取後は体内でDHAやEPAに変換されます。
そのため、生活習慣病を含めた認知症予防への高い効果が期待できるのです。

注意したい油の種類

ちなみに、注意したい油には以下のようなものがあります。

・飽和脂肪酸(パーム油や肉類、乳製品など):悪玉コレステロールの増加や肥満につながりやすい

・トランス脂肪酸(マーガリンやショートニングなどの加工食品):人工的に作られた脂肪酸で、高血圧や高脂血症などの生活習慣病を引き起こしやすい

・リノール酸(サラダ油やごま油など):脳の神経細胞に悪影響を及ぼすことがある

いずれも適量であれば問題ありませんが、過剰摂取による生活習慣病や脳へのダメージなどが報告されています。

認知症予防にはこのような脂質をできるだけ減らし、亜麻仁油などの質の良い油を積極的に取り入れることが大切です。

亜麻仁油と同様の効果が期待できる食材

亜麻仁油に含まれるオメガ3系脂肪酸は、体内でつくることができない必須脂肪酸です。不足しないよう、日々の食事で意識的に摂取する必要があります。

そこで、亜麻仁油のほかにオメガ3系脂肪酸を含む食材を紹介します。

えごま油

えごま油にもα−リノレン酸が多く含まれています。
えごま油とは、シソ科の植物であるえごまの種からとれる油を原料に作られた天然油です。含有量は亜麻仁油と同じくらいで、同様の効果が期待できます。

青魚

青魚(イワシ、ブリ、さば、サンマ、アジなど)は、DHAやEPAが豊富に含まれています。できるだけ脂の乗ったものを選ぶようにしましょう。

しかし日本では魚を食べる機会が減り、毎日の献立に取り入れるのが難しい人も多いようです。
その場合は、代わりに亜麻仁油やえごま油で補うのをおすすめします。

 

亜麻仁油の取扱い方法や適正量

亜麻仁油は空気に触れたり光に当たると酸化しやすいため、品質劣化がしにくい遮光瓶や酸化防止ボトルのものを選ぶと安心です。
1か月前後を目安に使い切れるぶんだけ購入し、開封後は冷暗所で保管しましょう。

また、オメガ3系脂肪酸の年齢ごとの1日適正量はこのようになっています。

男性 女性
50〜64歳 2.2g 1.9g
65〜74歳 2.2g 2.0g
75歳以上 2.1g 1.8g

(厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2020年版)参照)

適正量はあくまで目安なので、多すぎない限り毎回厳密に計る必要はありません。

青魚の場合、種類にもよりますが1日1食の摂取が推奨されています。
亜麻仁油なら、だいたいティースプーン1杯を目安にすると良いでしょう。

油に置き換えると1日に必要な摂取量はそこまで多くないので、高齢者でも取り入れやすく続けやすいのではないでしょうか。

 

亜麻仁油のおすすめの取り入れ方

亜麻仁油を無理なく食卓に取り入れるためには、いろいろなポイントがあります。
ここからは、亜麻仁油の摂取方法やおすすめの食べ方を解説します。

摂取方法

亜麻仁油をはじめとしたオメガ3系脂肪酸は熱に弱く、酸化しやすいという特徴があります。

加熱されると「過酸化脂質」という有害物質に変化し、品質や風味が低下するだけでなく身体に悪影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。

炒める、煮るなどの加熱調理には不向きですが、加熱が終わった温かい料理や飲み物に合わせるのは問題ありません。食べる直前、または火を止めて盛り付けるときに加えましょう。

えごま油や青魚も同様、酸化を防ぐにはできるだけ加熱は控えた方が良く、青魚は生で楽しめるお刺身や丼物などがおすすめです。

また、亜麻仁油は無味無臭というより独特なくせや苦味を感じます。
もちろんそのまま飲んでも問題ありませんが、人によっては主張が強すぎるかもしれません。
そんなときはラー油やオリーブオイルと混ぜて味をまろやかにしたり、あらかじめ亜麻仁油が入った調味料を活用しましょう。

 

亜麻仁油のおすすめの食べ方

亜麻仁油のおすすめの食べ方は、ドレッシングとしてサラダや生野菜にかけたり、和え物、味噌汁、ヨーグルトなどに加えることです。

パスタや素麺などの麺類と和えても、コクや風味が引き立ち食べやすくなります。

油の取りすぎが気になる場合は、亜麻仁油をごま油やマヨネーズなど日頃使っている油と置き換えると、より脂質のバランスがとりやすいと思います。

栄養素の組み合わせでは、納豆や豆腐などのタンパク質(身体の細胞のもと)と一緒に食べるのが効果的です。

そのほか、たまごやキノコ類などに含まれるビタミンD(心疾患・認知症予防)、アボカドやブロッコリーなどに含まれるビタミンE(抗酸化作用や血行改善)との相性も抜群です。

脂溶性であるビタミンD・Eは油と一緒に摂ることで身体に効率良く吸収されるため、栄養の相乗効果を得ることができます。

特別なことをしなくても、ちょっとした工夫でいつものメニューが健康的に生まれ変わります。

 

まとめ

亜麻仁油は、認知症予防に取り入れたい食材のひとつであることがわかりました。

オメガ3系脂肪酸が不足しがちな人は、亜麻仁油を上手に取り入れながら食生活を見直すきっかけにしましょう。

最も大切なのは、適量を毎日継続することです。まずはいろいろな食材との相性を試しながら、日々の食事で続けやすい食べ方を見つけてみてください。

認知症予防への意識を高めながら、無理なく習慣化していきましょう。

 

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