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理学療法士(PT)とは?役割や提供サービスについて解説

2024.01.31
介護の基礎知識③

理学療法士(PT)とは?役割や提供サービスについて解説

 

 

介護現場では、さまざまな専門職が活躍しています。

特に理学療法士の仕事は、病気や障がいのある人にとって、身体機能を維持しながら自分らしく生きるために必要不可欠です。

そこで今回は、理学療法士の役割や提供サービスについて解説します。

 

理学療法士とは?

理学療法士(PT:Physical Therapist)とは、病気や障がいのある人に対して、日常生活に必要な基本動作能力の維持・向上を目指しリハビリを行う医療専門職です。

医師の指示のもと、一人ひとりに合った治療方針や計画を立てながら自立に向けた支援を行っています。

近年は医療・介護現場だけでなく、行政・教育機関やトレーニングジム、スポーツトレーナーなど活躍の場がさらに広がっています。

 

理学療法士の主な役割

理学療法士は、主に歩行や立ち座りなどの日常生活全般に必要な基本動作にアプローチしています。これらはまさに、生活の根幹となる支援です。

ここからは、具体的にどのような役割(業務)を担っているのかをみていきましょう。

 

機能訓練

理学療法士が行う機能訓練(リハビリ)には、主に「運動療法」と「物理療法」の2つがあります。

「運動療法」とは、本人の運動能力を活かしながら全身の筋力や持久力、柔軟性を維持・改善する治療方法です。
理学療法士が施術するストレッチをはじめ、平行棒などの専用機器を用いた歩行訓練、姿勢改善などさまざまな治療法があります。あくまでも、その人に合ったプログラムを無理のない範囲で調整し進めていきます。

「物理療法」とは、患部に外部から刺激を与えることにより身体機能の回復を図る治療方法です。
例えば、マイクロ波やホットパックなどの温熱療法、低周波を利用した電気療法、光線療法などがあります。また、リハビリを目的とした牽引やマッサージも物理療法のひとつです。
物理療法は直接患部にアプローチすることができるので、痛みの軽減やむくみ (循環不良)の改善につながりやすいのが特徴です。

身体の機能は複雑に作用し合っており、ひとつの症状に対してさまざまな要因が関連していることが多いです。
そのため、理学療法士は本人の訴えや症状を総合的に判断し、最適な治療を提供しています。

 

 

本人の自立をイメージした支援

理学療法士が目指すゴールは「本人が自立した日常生活を送れること」です。そのため、機能訓練とあわせて個々の生活をイメージした支援が欠かせません。

まず大切なのは、それぞれの住環境を把握することです。
現在の生活(または退院・退居後の生活)を見据えながら、できるだけ本人の力を活かせるように支援しています。
その上で、必要時に応じて杖や手すり、入浴補助用具といった福祉用具導入への助言を行います。無理なく生活を維持するための環境を整えるのも、理学療法士の大きな役割です。

また、家族とコミュニケーションをとりながら想いを聴くこと、介助指導や助言を行うことも大切な生活支援のひとつです。
多面的にアプローチしながら、その時々で本人にとって適切なケアにつながるよう力を発揮しています。

 

分野を超えた多職種との連携

理学療法士は、医師や看護師をはじめ、ケアマネジャー、介護福祉士、ソーシャルワーカーなど多くの専門職と連携しながら業務を行っています。
特に、同じリハビリ職である作業療法士(OT)や言語聴覚士(ST)と関わる機会も多くあります。

理学療法士の支援は本人の生活に密接しているため、分野を超えた包括的なサポートが大切です。
医療のみならず、介護や障がい福祉、地域のネットワークなどを活用しながら、理学療法士ならではの専門性を活かしています。

 

医療現場と介護現場の理学療法士の役割の違い

理学療法士の役割は、医療と介護の現場においてそれぞれ違いがあります。

病院やクリニックなどの医療現場では、主に治療を目的としたリハビリを行うため、急性期の患者さんへの対応が多いのが特徴です。
身体の不調となる原因(病気など)をもとに、それぞれの症状や身体能力に合った支援を提供します。

施設や訪問リハビリテーションなどの介護現場では、自宅での暮らしを想定した長期的なリハビリを行います。
治療かつ予防の視点を取り入れながら、“生活の質を高め、自立した日常生活に必要な支援を行う”という点が、医療現場との大きな違いです。
目にみえる症状だけでなく、本人を取り巻く環境や想いを汲み取ることがより大切になります。

 

介護現場で理学療法士が提供するサービスとは?

では、介護の現場において、理学療法士はどのようなサービスを提供しているのでしょうか。

ここでは、介護保険サービスの中の施設・通所・訪問、そして介護予防の4つの視点から解説します。

 

1.施設(介護老人保険施設)

介護老人保健施設とは、短期間(3〜6ヶ月)入居しながら、退院を見据えた医学的処置やリハビリなどを行う施設です。

利用者の中には、一時的な体調不良や治療が原因で身体機能が低下した人も多くみられます。
そのため退院後も自立した生活が送れるよう、日常生活動作を中心に機能訓練等のサービスを提供しています。

施設に入居することで日頃の身体活動レベルが把握しやすく、集中的かつ継続的にリハビリを行えるのがメリットです。
身体機能の改善が図られ、在宅生活に戻れる利用者も多くいます。


2.通所(通所リハビリテーション・デイサービス)

通所リハビリテーションやデイサービスでも理学療法士が活躍しています。

通所リハビリテーションは、リハビリに特化した通所施設です。
身体能力の維持向上を目的に、在宅生活を継続しながら活動レベルに合った指導・助言を行います。

デイサービスは、日中に食事や入浴などの日常生活支援を受けながら集団で過ごす施設です。
デイサービスに理学療法士の配置義務はありませんが、施設によっては日常生活動作の支援を目的にサービスを提供する場合があります。
主である介護支援の中で、必要な助言やサポートを行うイメージです。

 

3.訪問(訪問リハビリテーション・訪問看護ステーション)

訪問リハビリテーションとは、リハビリ専門職(理学療法士や作業療法士)が自宅に訪問し、日常生活に必要な機能訓練を行うサービスです。
現在の自立度を維持したい人や、定期的な通所・通院が難しい人にも多く利用されています。

また最近では、訪問看護ステーションを拠点に活動する理学療法士も増えているようです。
医療的処置が必要な人の中でも、リハビリを重点的に行う利用者の継続的な支援が期待されています。リハビリだけでなく、看護師に代わって全身状態の観察やアセスメント、医学的な助言を行うこともあります。

訪問では自宅でサービスを受けられるので、より生活に密着した支援が可能です。
実際の住環境や生活動作を確認することで、実態に則した細やかな介入につながります。

 

 

4.介護予防

介護保険外ではありますが、地域の高齢者を対象とした介護予防施設等で介護予防事業に携わる理学療法士もいます。
主に運動教室や体力測定会の主催、運動機器でのトレーニング指導、介護予防活動の普及啓発などを行っています。
また、行政と連携したフレイル予防や健康増進のための事業、講演会の開催等も大きな役割のひとつです。

そういった活動の中で利用者の運動能力や基礎体力を定期的に評価し、長期的な地域の介護予防計画に役立てています。

 

まとめ

自立した日常生活を送ることは、生きる上で大切であると同時にすべての人の望みでもあります。
理学療法士は、病気や障がいなどで身体機能が低下しても、その人の持っている力を最大限引き出しながらより良い暮らしを目指してサポートしています。まさに、一人ひとりの人生に寄り添える職業といえるでしょう。

介護現場でも、理学療法士は非常に大きな役割を担っています。
地域に身近な存在として、これからも活躍の場が広がっていくことを期待したいですね。

 

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