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若年性認知症とは?症状や原因、高齢発症との違いを解説

2024.02.13
認知症の基礎知識⑨

若年性認知症とは?症状や原因、高齢発症との違いを解説

 

 

みなさんは「若年性認知症」という病気を知っていますか?

認知症と聞くと高齢者の病気だと思われがちですが、実は若年層の人でも発症することがあります。

今回は、若年性認知症の主な症状や原因、予防方法などについて解説します。

 

若年性認知症とは?

若年性認知症とは、65歳未満で発症する認知症の総称です。

この年代は現役で働く人が多く、社会的な役割が大きい時期です。家庭を持ち子どもを養っている人も多いでしょう。
それゆえに、発症すると本人はもちろん家族や仕事への影響は大きく、さまざまな問題を引き起こす場合があります。 

厚生労働省の調査によると、国内の18〜64歳の患者数はおよそ3.57万人と予測されています。
若年性認知症は病状の進行が早いといわれており、できる限りの早期発見・治療が望まれます。

 

若年性認知症の種類と原因

若年性認知症は単独の病名ではなく、さまざまな認知症の種類や原因が存在しています。
若年性認知症といわれる病気にはどのようなものがあるのか、詳しくみていきましょう。

 

アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症は、若年性認知症のおよそ半数を占めています。
高齢発症のアルツハイマー型認知症と同じで、脳の神経細胞の障がい(萎縮や破壊)によって引き起こされます。
一部では遺伝の症例も認められていますが、そのメカニズムは未だ解明されていません。

 

脳血管性認知症

脳血管性認知症はアルツハイマー型認知症に次いで多く、全体の約2割を占める病気です。
脳梗塞や脳出血など脳血管の損傷が原因で発症することから、生活習慣病と非常に強い関係があります。

脳が司る神経や認知機能は部位ごとに異なります。そのため、現れる症状も障がいの場所によって変わるのが特徴です。

 

前頭側頭型認知症

前頭側頭型認知症とは、前頭葉や側頭葉の脳前方部分の萎縮が原因で起こり、全体の1割程度を占めています。

 

外傷の後遺症による認知症

頭部外傷には、不慮の事故や自転車やバイクでの転倒、スポーツ中の怪我などがあげられます。
病気ではなくても思わぬ事故が原因で認知症になる可能性もあります。

 

パーキンソン型認知症・レビー小体型認知症

パーキンソン型認知症は、パーキンソン病の罹患に伴い発症する認知症です。
病歴が長いほど、また健常者と比べても認知症になる可能性は高いといわれています。

レビー小体型認知症は「レビー小体」というタンパク質が脳に蓄積し、神経細胞が減少して生じる認知症です。
パーキンソン病特有の運動症状が現れるため、パーキンソン型認知症との判別が難しいことがあります。

 

アルコール関連障害による認知症

大量飲酒が習慣化している人やアルコール依存症の人は、脳の萎縮により認知症になりやすいことがわかっています。
特にストレスの多い働き盛りの年代に注意が必要です。

 

若年性認知症の症状

認知症は主に進行性の症状が現れ、大きく「中核症状」「周辺症状(行動・心理症状)」の2つにわかれます。

 

中核症状

中核症状は脳への直接的なダメージが原因で起こります。認知症によくみられる特徴的な症状といえます。

代表的な症状には、物忘れと呼ばれる「記憶障害」、場所や日時がわからなくなる「見当識障害」、物事を計画立てて進められなくなる「実行機能障害」があります。

また判断力や注意力、理解力の低下も認められ、当たり前のことができなくなったりあらゆることに無関心になったりします。

 

周辺症状(行動・心理症状)

周辺症状(行動・心理症状)とは認知症に伴う二次的な症状のことで、例えば幻覚や妄想、不安、抑うつ、徘徊などがあげられます。
精神的に不安定になりがちで、急に人格が変わったように感じることも多いです。

周辺症状は個人差が大きく、本人の性格や生活環境などによっても左右されます。症状が現れない人もいれば、浮き沈みが激しい人もいます。

 

アルツハイマー型認知症では、主に上記の症状が現れることがほとんどです。

初期の頃は軽い物忘れやミスで済んでいたものが、徐々に日常生活に支障をきたすようになり、不安やうつなどの周辺症状も併発しやすくなります。

病状が進行すると、社会活動はもとより日常への関心や意欲も薄れていきます。
「身の回りのことができない」「意思疎通が困難」といった状態で常に介護や見守りが必要になれば、家族の負担も増えるでしょう。

 

脳血管性認知症は主な認知症状のほか、歩行、嚥下、言語障害などを伴うことがあります。障がいの部位など、人によって現れ方が異なります。

また、脳血管性認知症は「昨日はできなかったのに今日はできる」「記憶力は衰えているけど理解力はある」など、体調や時間によって症状に偏りがみられることから「まだら認知症」とも呼ばれます。
できる・できないの差が大きく、側からみると行動に一貫性がないように感じます。

もうひとつ特徴的なのが、高次脳機能障害を併発しやすいことです。
症状には中核症状と同じ記憶障害や遂行機能障害、失語などがありますが、脳損傷部位や原因が明確なため改善する可能性があります。

 

前頭側頭型認知症は、社会性・人格を司る前頭葉や言語・記憶を司る側頭葉がダメージを受けます。
そのため、常識を逸脱する行動(窃盗などの犯罪行為)や常同行動(何度も同じことを繰り返す)が顕著にみられます。

 

レビー小体型認知症の特徴は、パーキンソン症状をはじめ、妄想や幻視、うつ症状などが現れることです。
特に初期では症状に波があるため、病気とまでは気付きにくい傾向にあります。

 

若年性認知症と高齢発症の認知症は違うの?

若年性認知症と高齢発症の認知症では、大きく異なる点があります。
ここからは、若年性認知症の特徴を中心に解説します。

 

厚生労働省の統計によると、若年性認知症は平均50歳前後で発症し、50歳未満の発症も3割ほど確認されています。

また、高齢発症の認知症は女性に多い反面、若年性認知症は男性に多いのが特徴です。 

 

社会活動が活発なぶん、高齢者と比べて日常の中で違和感に気付くきっかけは多いですが、認知症だと思う人は少ないでしょう。

年齢的にもストレスや更年期障害など他の原因を疑い、適切な治療まで辿り着かないことが多いです。
症状が軽く何とか自立できている場合、わざわざ受診までに至らず後回しになってしまいがちです。

結果的に診断が遅れ、そのときにはすでに症状が進行していることが多いのです。

 

また、若いからこそ将来への不安やショックは計り知れず、家族を含め多くの人は受容するまでに時間がかかります。 

社会活動が継続しにくくなり、職場環境や症状によっては仕事を休職、退職せざるを得ません。
大黒柱であった場合は家庭への影響も大きいですし、子育てや親の介護と重なれば介護者の負担が増大します。

本人にとって、そういった日常の変化によるストレスも大きいでしょう。

 

若年性認知症を予防するには

若年性認知症は、日常生活と向き合うことで発症リスクを減らすことができます。
予防のために、日々の中でできる工夫や対策を紹介します。

 

脳血管性認知症には、高血圧や糖尿病、動脈硬化などの生活習慣病予防が大切です。

特に脳卒中は症状が悪化しやすく、認知症のリスクも高まります。
罹患しないことが一番ですが、既往歴のある人は再発予防に努めましょう。日頃から食生活、運動、睡眠を整え、継続することが大切です。

アルコール関連障害による認知症は、いうまでもなく過剰飲酒を控える必要があります。
タバコも脳や血管への悪影響が報告されているため、喫煙習慣も見直すと良いでしょう。

頭部外傷は、頭を強く打ち付けないよう日頃から注意が必要です。
ヘルメットや保護帽子の着用など、基本的な対策を怠らないようにしましょう。

また、普段から脳に刺激を与えるのも効果的です。
特別なことでなくても、日常の中で興味関心を広げたり、楽しめる趣味や生きがいを持つだけでも脳の健康につながります。

 

もし若年性認知症になってしまったら…知ってほしい支援制度や相談窓口

万が一若年性認知症になったときのために、どのような制度や相談窓口があるのかを知っておくことも大切です。

 

厚生労働省では「若年性認知症コールセンター」を設置しています。
各都道府県にも「若年性認知症支援コーディネーター」が配置されており、関係機関との連携や相談窓口の役割を担っています。

若年性認知症の家族会やNPO法人が運営するサポートセンターなど、地域のコミュニティを活用するのもおすすめです。

 

また、若年性認知症は介護保険の特定疾患のひとつで、40歳以上であれば介護保険サービスの対象になります。
利用したい場合は地域包括支援センターに相談しましょう。

症状によっては、障がい者手帳(精神障がい者福祉保健手帳・身体障がい者手帳)や障害年金、自立支援医療の対象となる場合もあります。

 

さまざまな制度やサービスを活用し、本人や家族が継続的な支援を受けることが大切です。

 

 

まとめ

若年性認知症は、高齢発症の認知症と比べてまだまだ認知度が低い病気です。

だからこそ、日頃から正しい知識を持つことで病気の予防や早期発見につながります。

何か症状が現れたときに気付きや行動の選択肢が増えますし、若年性認知症に対する理解や支え合いの意識がより高まるのではないでしょうか。

若年性認知症は誰もがかかり得る病気でもあります。病気を知り、できることからはじめましょう。

 

 

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