パーキンソン病と認知症、その違いはどこに?
原因・症状・治療法まで徹底解説!
「最近、もの忘れがひどくなった気がする…もしかして認知症?」 「手が震えるのは年のせい?それともパーキンソン病?」年齢を重ねるにつれて、脳の病気への不安は募るばかり。特に「パーキンソン病」と「認知症」は、どちらも脳の病気として知られていますが、その違いを詳しく理解している人は少ないのではないでしょうか。
この記事では、パーキンソン病と認知症の違いについて、原因や症状、治療法、最新の研究成果までを交えながら、専門医の監修のもと分かりやすく解説します。
パーキンソン病とは?
パーキンソン病は、脳内の神経伝達物質であるドーパミンが減少することで起こる神経変性疾患です。
ドーパミンは運動機能の調節に重要な役割を果たしており、その減少によって、パーキンソン病の代表的な症状である「安静時振戦(手足の震え)」、「筋固縮(筋肉のこわばり)」、「無動・寡動(動作の緩慢さ)」、「姿勢反射障害(バランスの悪さ)」などが現れます。
これらの症状は、最初は片側の手足に現れ、徐々に全身に広がっていくのが特徴です。
認知症とは?
一方、認知症は、記憶力や判断力など、認知機能が低下する病気の総称です。アルツハイマー病、レビー小体型認知症、血管性認知症など、様々な種類があります。
認知症は脳細胞の死滅や萎縮によって引き起こされ、その原因は病気の種類によって異なります。
アルツハイマー病では、脳内にアミロイドβというタンパク質が蓄積することが主な原因と考えられています。
パーキンソン病と認知症、症状の違いは?
パーキンソン病と認知症は、どちらも脳の病気ですが、その症状には明確な違いがあります。
パーキンソン病
- 運動症状: 安静時振戦、筋固縮、無動・寡動、姿勢反射障害
- 非運動症状: 抑うつ、便秘、睡眠障害、嗅覚障害など
認知症
- 中核症状: 記憶障害、見当識障害、理解・判断力の低下、実行機能障害
- 周辺症状(BPSD): 幻覚、妄想、抑うつ、興奮、徘徊など
パーキンソン病は主に運動機能に障害が現れるのに対し、認知症は記憶障害や判断力低下などの認知機能の低下が主な症状です。
パーキンソン病と認知症の合併
パーキンソン病の患者さんの中には、病気が進行するにつれて認知症を発症するケースがあります。これは「パーキンソン病認知症」と呼ばれ、パーキンソン病の症状に加えて、記憶障害や幻覚などの認知症の症状が現れます。
パーキンソン病認知症は、パーキンソン病の患者さんの約50~80%に発症すると言われています。パーキンソン病と認知症、治療法の違いは?パーキンソン病と認知症の治療法は、それぞれ異なります。
パーキンソン病
- 薬物療法: ドーパミン製剤、ドパミンアゴニスト、MAO-B阻害薬など
- 手術療法: 脳深部刺激療法(DBS)など
- リハビリテーション: 理学療法、作業療法、言語療法など
認知症
- 薬物療法: アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、NMDA受容体拮抗薬など
- 非薬物療法: 認知リハビリテーション、音楽療法、回想法など
パーキンソン病の治療では、不足しているドーパミンを補う薬物療法が中心となります。一方、認知症の治療では、原因となる病気によって異なりますが、薬物療法に加えて、認知機能の維持・改善を目的とした非薬物療法も重要です。
パーキンソン病と認知症、予防できる?
パーキンソン病と認知症には、残念ながら確実な予防法はありません。
しかし、以下の生活習慣は、両方の病気のリスクを下げる可能性があるとされています。
- バランスの取れた食事
- 適度な運動
- 十分な睡眠
- ストレスを溜めない
- 社会的な交流
最新の研究から
パーキンソン病と認知症の研究は日々進歩しており、新たな治療法や予防法の開発が期待されています。
例えば、パーキンソン病の原因物質として注目されているα-シヌクレインを標的とした治療薬や、腸内細菌叢の改善によるパーキンソン病の予防法などが研究されています。
また、認知症においては、アミロイドβやタウタンパク質を標的とした治療薬の開発が進められています。
まとめ|早期発見・早期治療が重要
パーキンソン病と認知症は、それぞれ異なる病気ですが、どちらも早期発見・早期治療が重要です。もし、ご自身やご家族に気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
神経内科や精神科など、専門の医療機関を受診することが大切です。
専門医による適切な診断と治療を受けることで、症状の進行を遅らせ、より良い生活を送ることができる可能性があります。
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