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パーキンソン病とリハビリについて解説

2024.07.24

パーキンソン病とリハビリについて

パーキンソン病は、進行性の神経変性疾患であり、身体の動きやバランスに影響を及ぼします。しかし、リハビリテーションは、この病気と闘い、生活の質(QOL)を向上させるための強力な武器となります。この記事では、パーキンソン病のリハビリの重要性、種類、そして最新の知見について、患者さんやご家族がより深く理解できるよう、具体的な事例や情報を交えながら解説します。

なぜリハビリが重要なのか?

パーキンソン病の症状は、個人差が大きく、進行もゆっくりであるため、初期には「年のせいかな?」と見過ごされてしまうこともあります。しかし、症状が進行するにつれて、日常生活動作(ADL)に支障をきたし、転倒や肺炎などのリスクも高まります。リハビリは、パーキンソン病の進行を止めることはできませんが、以下の点で非常に重要な役割を果たします。

  1. 運動機能の維持・改善: 筋肉の強さ、柔軟性、バランス、協調性を維持・改善することで、転倒を防ぎ、杖や歩行器などの補助具をなるべく使わずに、自分の足で歩き続けることを目指します。例えば、理学療法士と一緒に、正しい姿勢や歩き方を練習したり、ストレッチや筋トレを行ったりします。
  2. 症状の緩和: パーキンソン病の代表的な症状である振戦(ふるえ)、筋固縮(筋肉のこわばり)、動作緩慢(動きが遅くなる)、姿勢反射障害(バランスを崩しやすい)などを軽減し、日常生活を送りやすくします。例えば、薬物療法と並行して、LSVT BIG療法で大きな動きを練習することで、動作緩慢や小刻み歩行を改善できることがあります。
  3. 精神面のサポート: パーキンソン病と診断されると、将来への不安や抑うつを感じることがあります。リハビリでは、患者さんの気持ちに寄り添いながら、前向きに病気と向き合う力を養います。また、同じ病気を持つ仲間と交流する機会を設けたり、趣味活動への参加を促したりすることで、心の安定を図ります。
  4. QOL(生活の質)の向上: パーキンソン病は、身体的な問題だけでなく、精神的な問題や社会的な問題も引き起こすことがあります。リハビリは、これらの問題にも総合的にアプローチし、患者さんが生きがいを持って生活できるよう支援します。例えば、作業療法士と一緒に、着替えや食事、入浴などの練習をすることで、自立した生活を長く続けられるようにサポートします。

リハビリの種類~あなたに合ったリハビリを見つけよう~

パーキンソン病のリハビリは、症状や個人の状態に合わせて、様々な種類があります。

  1. 理学療法(PT: 主に運動機能の維持・改善を目的とし、歩行訓練、バランス訓練、筋力トレーニング、ストレッチなどを行います。
  2. 作業療法(OT: 日常生活動作(ADL)の改善を目的とし、着替え、食事、入浴、トイレなどの練習や、自助具(スプーンやフォークなど)の利用指導を行います。
  3. 言語聴覚療法(ST: 発声、嚥下(飲み込み)、コミュニケーション能力の維持・改善を目的とし、発声練習、嚥下訓練、会話練習などを行います。
  4. LSVT BIG/LOUD療法: パーキンソン病特有の動作緩慢や小刻み歩行、声の小ささといった症状に対して効果的な運動療法です。大きな動作や大きな声で話すことを繰り返し練習することで、脳の神経回路を活性化させ、症状を改善します。

これらのリハビリは、単独で行われることもありますが、組み合わせて行われることが一般的です。


最新のリハビリテーション~進化するリハビリで、もっと快適な毎日を~

近年、パーキンソン病のリハビリテーションは、目覚ましい進歩を遂げています。

  1. リズム運動療法: 音楽に合わせて体を動かすことで、歩行やバランス能力を改善する効果が期待できます。
  2. 仮想現実(VR)リハビリ: VR技術を活用したリハビリは、ゲーム感覚で楽しく運動できるため、モチベーションの維持に役立ちます。また、自宅で手軽に行えるというメリットもあります。
  3. ロボットスーツ: 装着することで、歩行や立ち上がりなどの動作をサポートするロボットスーツは、運動機能の改善に効果が期待されています。
  4. 脳深部刺激療法(DBS: 脳に電極を埋め込み、電気刺激を与えることで症状を改善する治療法です。薬物療法で効果が不十分な場合に検討されます。

リハビリを始めるにあたって~あなたの未来は、ここから始まる~

パーキンソン病のリハビリは、早期に開始することが重要です。症状が軽いうちからリハビリに取り組むことで、運動機能の低下を予防し、QOLを維持・向上させる効果が期待できます。リハビリは、専門の医療機関で行うことが推奨されます。医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの専門家が、個々の状態に合わせて最適なリハビリプログラムを作成し、指導してくれます。家族のサポート~共に支え合い、共に歩む~パーキンソン病患者さんの家族は、リハビリを支える上で重要な役割を果たします。

  1. 励まし: リハビリは、根気が必要な場合があります。患者さんを励まし、モチベーションを維持するようサポートしましょう。
  2. 協力: リハビリの内容を理解し、自宅での練習に協力しましょう。
  3. 相談: 困ったことや不安なことがあれば、遠慮なく医療機関に相談しましょう。

まとめ~希望を持って、未来へ~

パーキンソン病は、進行性の病気ですが、適切なリハビリテーションによって、症状をコントロールし、QOLを維持・向上させることができます。最新の知見を取り入れながら、積極的にリハビリに取り組み、希望を持って病気と向き合いましょう。

最後に

この記事は、パーキンソン病とリハビリに関する一般的な情報を提供するものであり、医学的なアドバイスではありません。具体的な治療法やリハビリテーションについては、必ず医師に相談してください。


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