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パーキンソン病とはどんな病気か?

2024.06.10

パーキンソン病とはどんな病気か?

 

 

パーキンソン病は、神経細胞の病変により運動機能が妨げられる進行性の病気です。
中高年に多く発症し、日本では高齢化とともに患者数が増えていることから、現代では決して珍しい病気ではありません。

今回は、パーキンソン病の原因や症状、治療法などをまとめました。

 

パーキンソン病とは?

パーキンソン病は、脳神経細胞の働きが衰えることにより自分の意思で身体を動かせなくなる進行性の症状が特徴で、神経難病の中でも代表的な病気です。
2020年の全国の総患者数はおよそ28万人で年々増加しています。(厚生労働省:「令和2年 患者調査 傷病分類編」)

50歳以上での発症が多く、高齢化が進む日本では65歳以上の100人に1人が罹患しているといわれていますが、総患者数のうちおよそ10%は40歳以下で発症する若年性パーキンソン病です。

1817年、イギリスの医師であるジェームズ・パーキンソンがその病状を初めて報告したことが名前の由来です。
日本では2015年に厚生労働省の指定難病に指定され、国の医療費助成の対象になりました。
介護保険の特定疾病のひとつでもあり、介護認定を受けることで第2号被保険者(40〜64歳)の人も介護サービスを利用できます。

パーキンソン病の症状には個人差がありますが、現代医療では治療法が進み、進行を遅らせ自立期間を長く保てるようになりました。
予後をできるだけ快適に過ごすには、早期発見・早期治療が何より大切です。

 

パーキンソン病の原因

パーキンソン病の発症は、身体の動きを司る脳の部位の変性が原因と考えられています。
大脳基底核のひとつである黒質と呼ばれる部位には、自分の意思で身体を動かしたり無意識な身体の動きを抑制する働きがあります。その主要となるドパミン(神経伝達物質)をつくる神経細胞が減少することで運動機能が妨げられてしまいます。
言い換えれば、ドパミンが慢性的に不足した状態が続きます。

パーキンソン病患者の一部(約10%)には遺伝的因子が確認されていますが、それ以外の大半の事例では、なぜ脳の変性が引き起こされるのかはわかっていません。



パーキンソン病の症状

パーキンソン病では、特徴的な症状が現れます。
ここでは、運動症状と非運動症状にわけて解説します。

◼️運動症状
パーキンソン病には、代表的な4つの症状があります。

①静止時振戦
安静時の規則的な筋肉のふるえ。筋肉が弛緩しているとき(睡眠時以外)に起こる。

②筋剛強
筋肉のこわばりにより、筋肉や関節をうまく動かせなくなる。痛みを伴うこともある。

③動作緩慢
一つひとつの動作が遅くなり、とっさの動きが難しい。

④姿勢反射障害
体幹(重心)が揺らぎ姿勢が保てないため、前屈みになり転びやすい。
初期にはみられず、ある程度症状が進行してから現れる。


また、歩行にはこのような特徴が現れます。 

・歩き出すとき、一歩目が出しにくい
・小刻み歩行(歩幅が狭くすり足になる、しっかりと地面を踏みしめて歩けない)
・すくみ足(前触れなく急に足が出なくなり、立ち止まる)
・加速歩行(意思とは関係なく加速し、身を守ろうとして前のめりになったりつまずく)
・足の動きにあわせて腕を振ることが難しく、歩行のリズムが取れない

 

日常生活では、起床、就寝動作、寝返り、着替え、食事、歯磨き、洗顔、料理、階段昇降、移動・移乗などさまざまな場面で支障をきたします。
ストレスや不安、疲れなどによっても症状に波があるため、本人や家族ともに負担を抱えやすいです。

進行すると、身体をひねる、同時に複数の動作をするなどの複雑な動きや、指先を使う繊細な動作が難しくなります。
高齢になると、嚥下困難によるむせや誤嚥、誤嚥性肺炎のリスクも高く注意が必要です。 

また、顔の筋肉が思うように動かせず喜怒哀楽が表現しにくい、コミュニケーションが取りにくいといった問題もあります。
感情はあるのに「無感情」「無表情」と受け取られてしまいます。

 

◼️非運動症状
非運動症状は、主に自律神経が障害されることで現れます。
主な症状を下記にあげます。

・便秘
・排尿障害
・起立性低血圧(立ちくらみ)
・嗅覚障害
・レム睡眠行動障害
・うつ病(後期に多い)
・認知症 

このように、一見関連がなさそうな症状の中にパーキンソン病が隠れている可能性もあります。
ふるえや歩行障害などの運動障害にとらわれず、全身症状をよく観察することが大切です。

パーキンソン病の治療法や日常生活でできること

パーキンソン病の治療の目標は、症状のコントロールや運動機能の維持により、できるだけ自立したその人らしい生活を送ることです。
ここでは、主な治療法と日常生活でできることを紹介します。

◼️治療法
まず、医学的な治療には薬物治療や手術があります。

・薬物治療
パーキンソン病の内服薬は、レボドパ、カルビドパ、その他のドパミン作動薬がよく使われます。また、嚥下障害などで内服が難しい人にはテープ(貼付薬)もあります。
一般的には、薬物治療を中心に治療を進めます。一人ひとりの経過や症状に合わせて処方されるため、自己判断で量や種類を調整したり中断してはいけません。副作用や体調不良などの異常がみられたらすぐに受診しましょう。

・手術
長期の薬物治療などで効果が出ないときに、手術するケースもあります。脳深部刺激療法といい、ドパミンの代わりに電気刺激を与える電極や装置を体内に埋め込む方法です。
パーキンソン病の手術は治療や症状の経過をもとに慎重に判断されるため、希望すれば誰でも受けられるわけではありません。

 

◼️日常生活でできること
パーキンソン病と長く付き合うには、無理せず病気と向き合う工夫が大切です。
ここからは、日常生活で心がけたいことを2つ紹介します。

・運動機能や筋力の維持
運動症状がある中で身体を動かすのはとても大変ですが、活動せずにいると全身の筋力が低下してしまいます。特に高齢者は、加齢による筋力低下が顕著に影響します。
できるだけ日常生活動作を続けたり、ストレッチや体操などの運動を取り入れることが大切です。

【自立のためにできる工夫】
・生活動線を確保し、手すりやスロープなどを設置する
・ボタンやひものない、着脱しやすい服装を選ぶ
・電動歯ブラシを使う
・掃除や料理は、動きやすく調子のよい時間帯に行う
・杖や歩行器などの福祉用具、持ちやすい箸などの補助具を活用する

リハビリについては、専門家である理学療法士や作業療法士に相談しましょう。
自宅でできる個別プログラムを教えてもらったり、デイケアなど通いのサービスを活用しながら運動を習慣化するといいでしょう。

・日常に生きがいや楽しさをみつける
ドパミンは幸福ホルモンと呼ばれています。幸せや快楽、達成感を感じるとドパミンの分泌が促進され、脳にもいい刺激になります。
ささいなことでもいいので、生きがいや楽しさを感じながら過ごしましょう。


 

パーキンソン病の人が入所できる施設は?

パーキンソン病は、高齢であるほど認知症が併発する可能性が高まります。また、進行性であることからいずれは日常生活全般に支援が必要になります。
ここでは、在宅生活が困難になった場合に備え、パーキンソン病の人が入所可能な施設を紹介します。

【入所施設の例】
・介護老人福祉施設(特養)
・介護付有料老人ホーム
・ナーシングホーム
・ホスピス
・パーキンソン病患者専門の老人ホーム(地域による)

施設によりサービスの種類や対応範囲はさまざまなので、その人の介護度や重症度、リハビリの必要性などを考えて選びましょう。
24時間体制での医療や介護が必要になれば、ナーシングホームやホスピスが適しているかもしれません。
可能であればできるだけ早い時期から、治療や週末期ケアについて本人の意思を確認しておきましょう。

まとめ

パーキンソン病はふるえやこわばりなどの代表的な運動症状のほか、うつや認知症などの精神症状も併発する可能性があります。進行性のため、長い目で無理なく病気と向き合うことが大切です。
医師や介護士などの支援者と最適な治療法や支援を考えるとともに、家族の理解やサポートを受けながら自分らしい生活を送りましょう。

 

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