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ヘルプマーク・ヘルプカードとは?作成方法や活用法を解説

2024.05.31

ヘルプマーク・ヘルプカードとは?作成方法や活用法を解説

 

 

最近街中で、ヘルプマークやヘルプカードの広告をよく見かけますね。
「ヘルプカードとヘルプマークの違いは?」「どんな人が使っているんだろう」…そんな疑問を持つ人も多いのではないでしょうか。

今回は、ヘルプマークやヘルプカードの役割や作成方法、活用法について紹介します。

 

ヘルプマーク・ヘルプカードとは?

まず、ヘルプマークやヘルプカードの役割やメリットを解説します。

◼️ヘルプマーク
ヘルプマークは、障がいなどで見た目ではわからない困難を抱える人が、周囲に支援や配慮が必要なことを知らせるマークです。

赤色を基調とし、上下に白色のプラスとハートのシンボルが描かれたデザインは、助けが必要であることを視覚的に捉えやすく人目につきやすいのが特徴です。バッグなど、身の回りの物に付けられるストラップ型です。
連絡先や支援内容などを書いて裏面に貼れるシールも付属しています。  

ヘルプマークの利用に年齢や性別は関係なく、障がい者手帳の有無や病気の種類も問いません。もしものときに支援や配慮が必要なすべての人が対象です。
以下に対象者の例をあげます。

・視覚・聴覚・言語障がい
・義足や人工関節
・難病
・がん
・知的障がい、精神障がい、発達障がい
・認知症
・妊娠初期


ヘルプマーク誕生のきっかけは、2011年3月11日の東日本大震災です。「病気を上手く伝えられなかった」「内部障がいの把握が難しかった」といった声
を受け、2012年に東京都がヘルプマークの普及活動を始めました。

2017年にはJIS規格の案内用図記号(ピクトグラム)にヘルプマークが追加され、いまでは全国共通のマークとして知られています。

 

◼️ヘルプカード
ヘルプカードは、病状や必要な支援などを周囲に知らせるためのものです。
より詳細な情報を載せることができるので、ヘルプマークと併用する人もいます。
ヘルプカードには、以下の内容を記載できます。

・氏名
・生年月日
・年齢
・住所
・緊急連絡先
・病気や障がいの名前
・かかりつけ医療機関
・服薬の有無、薬剤名
・手伝ってほしいこと     など

 

ヘルプカードは各自治体で発行しています。名称や記載項目、デザインは自治体により異なりますが、誰もがその目的を理解できるよう、カード表面にヘルプマークを載せるのが一般的です。

また、それ以外に独自のツール(SOSカードや認知症に特化したオレンジカード、キーホルダーなど)を配布する自治体もあります。
「これを使うべき」という明確な決まりはないため、目的や病状によって使い分けるといいでしょう。

◼️ヘルプマークやヘルプカードのメリット
目にみえる病気や障がいであれば、みんな同じような支援ができます。しかし精神疾患や認知症などの内面の病気は見た目ではわかりにくく、助けを求められない人が多くいます。

そのため「何かあったらどうしよう」という不安をできるだけ取り除くことが大切です。 

ヘルプマークやヘルプカードを携帯することで、いざというときに必要な意思表示ができ、周囲も瞬時にその人の状態を把握できます。

また、トラブルや事故の防止はもちろん、病気や障がいを理由に社会参加が妨げられないようにとの願いも込められています。


 

ヘルプマーク・ヘルプカードの入手法

ヘルプマークやヘルプカードは、お住まいの自治体で無料でもらえます。

 ヘルプマークは、都道府県や市区町村の福祉担当課、公共施設(保健センターや保健所、障がい者福祉センターなど)、薬局や医療機関、鉄道の駅務室、バス営業所などで配布しています。障がい者手帳と一緒に受け取れる自治体もあるようです。
病気や障がいを証明する書類は不要で代理人でも受け取れます。
ただし上限(1人につき1個)や申込書提出を求める自治体もあるため、事前に確認しておきましょう。

 ヘルプカードも都道府県や市区町村の福祉担当課が窓口です。最近はヘルプマークと一緒に配布する自治体が増えています。
また、自治体のホームページでもダウンロードできます。より詳細な情報を記載したいときは、紙を付け足してもいいでしょう。

ヘルプマーク・ヘルプカードの作成方法

ヘルプマークやヘルプカードは自分で作ることもできます。災害バッグ用や紛失時に備えて複数必要なときに便利です。

◼️ヘルプマークの作成方法
ヘルプマークは、利用者が自分で身に付ける場合に限り作成が認められています(それ以外の目的では確認が必要)。
縦横比率を変えなければ、好みの大きさに拡大・縮小することもできます。

ただし、ヘルプマークの色の変更や変形などは認められていません。他にも規定があるため、東京都福祉局のガイドラインに従って作成しましょう。

【参考:ヘルプマーク作成・活用ガイドライン】https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/shougai//shougai_shisaku/helpmark.files/guideline6_050701.pdf(東京都福祉局)

 

◼️ヘルプカードの作成方法
東京都では、ヘルプカードの広域的な普及を目的として必須事項を定め、デザインや内容の統一を図っています。

【東京都の例】


【引用・参考:ヘルプカードガイドライン】
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/shougai/shougai_shisaku/card.files/1helpcard_guide.pdf(東京都福祉局)

お住まいの自治体にこのような規定がなければ、オリジナルのヘルプカードを作成できます(ヘルプマークを載せる場合は、必ずガイドラインを守りましょう)。

ヘルプマーク・ヘルプカードの活用法と注意点

ここからは、ヘルプマーク・ヘルプカードそれぞれの活用法と注意点を解説します。

◼️ヘルプマークの活用法
ヘルプマークは常に携帯し、できるだけ目立つところに付けましょう。
ヘルプマークは主にこのような場面で役立ちます。

・公共交通機関を利用するとき
電車やバスの優先席でヘルプマークを提示することで、周囲に必要性を伝えられます。目に見えない問題を抱えているからこそ、思い違いを無くすことが大切です。
ヘルプマークを付けた人がいたら、積極的に席を譲りましょう。

・体調が優れないとき
平常時は問題なくても、突然のパニック発作や持病の悪化により支援が必要な人もいます。
上手くコミュニケーションが取れなくても、状況を理解し適切な支援や配慮ができます。

・緊急時
事故や災害などの緊急時には、とっさの対応や正常な判断(助けを求める、身の安全を確保し避難するなど)が困難です。
ヘルプマークがあれば支援の必要性が一目でわかり、命を守るための迅速な対応につながります。

 

◼️ヘルプカードの活用法
ヘルプカードは必要なときに取り出せるのがメリットです。カードホルダーに入れて首からかける、手帳や財布にしまうなどの使い方があります。
ヘルプカードの活用例をいくつか紹介します。

【活用例】

・緊急時に備えてヘルプカードだけ携帯している
・自分の意思でヘルプカードを取り出せるので、普段はバッグの中に入れている
・ヘルプマークに個人情報を記載したくないので、補足的にヘルプカードを利用している
・病状や体調によりヘルプマークやヘルプカードを使い分けている


ぜひ自分に合った方法を見つけてみてください。

 

◼️ヘルプマークやヘルプカードを利用する際の注意点

ヘルプマークやヘルプカードの利用には、このような懸念もあります。

・認知症の人は存在自体を伝えられなかったり忘れてしまう可能性がある。
・病気や障がい、個人情報を公表することに不安や抵抗感がある。

ヘルプマークやヘルプカードを携帯していても、病状によっては上手く活用できない場合があります。
また、公表するリスクとともに安全性などのメリットをよく考える必要があります。

家族や医療・福祉の専門家と相談しながら、できるだけ本人が必要性を理解した上で利用するのが望ましいでしょう。

 

まとめ

支援を必要とする人が暮らしやすい社会をつくるには、一人ひとりが病気や障がいへの理解を示すことが大切です。

ヘルプマークやヘルプカードには、人々の想いをつなぎ、支援の輪を広げてくれる力があります。
いま生活にお困りの人がいたら、利用を検討してみてはいかがでしょうか。



 

 

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